放電?プラズマ?って?

 

ü  ここからは、放電について説明します。現在半導体プロセスで使われている放電の方式は多岐にわたっていますが、基本的な原理を理解していればあとは各方式の放電持続プロセスを考えればよいと思います。

 

ü  ここからは放電の原理をつらつらと説明いたします。

Fig.1のように電極A,Bに電圧を印加するとA-B間で持続的に放電します。このとき電極間でどのような現象が起きているか考えてみましょう。

このような放電を起こす場合、一般的にはある程度の真空(0.1-10Pa程度)にする必要があります。これは、放電しやすい条件であるという事と実際のプロセスでは真空状態にして使うメリットがあるということから真空にするのですが、ここでは放電の原理を理解することに重点を置きたいのでこのあたりは何かの機会にしたいと思います。ちなみに、大気圧プラズマというものもありますが今のところ真空中での放電利用がほとんどだと思います。

 

真空圧力と放電のしやすさとの関係は→パッシェンの法則

真空と放電の利用については→プラズマプロセス(専門書の方がわかりやすいと思います)

などのキーワードで検索してみてください。

discharge1

ところで、放電とプラズマってなんかごっちゃになりそうな気がしませんか?

 

私が、ここでつらつらと説明したいと思っているのは「放電による持続的なプラズマ」です。

実は放電にはいろいろな種類があります。Fig.1で描いたような半導体プロセスなどで使われる放電もあれば、静電気でパチっとなるのも放電現象です。

放電の定義や種別などは私もよくわからないので各専門書を参考にしていただきたいと思います。本によっては放電の区分を書いているものもありますが一般的な認知度が低いので放電区分などは参考程度と思っていたほうがいいかもしれません。

 

じゃあプラズマって何?ということでプラズマについては少しだけ説明させていただきます。

プラズマとは、プラス粒子とマイナス粒子がほぼ同数存在する状態を指します。

※マクロ的な視野ではプラズマは中性に見えますがプラズマ内やミクロ的な視野ではプラスやマイナスに帯電したモノに見えます。

つまり、その状態がプラズマです。人によっては第四の状態という人もいます。気体、液体、固体、プラズマ。という分け方だと思います。

なかなかすぐにピンとこないでしょうが、普通私たちの身の回りにはプラズマは存在しません。なぜならプラスとマイナスの粒子があるとプラスとマイナスで結合してすぐに中性の状態になってしまうからです。(火の玉は自然発生したプラズマだそうですよ。←ホントですかねぇー。)

しかし、放電などによって非常に高いエネルギーを受けるとプラスやマイナスの粒子に電離してプラズマ状態となります。条件によってはこのプラズマの状態を持続的に維持できるようになります。放電以外でも高いエネルギーを受けるとプラズマ状態となります。代表的な例が熱プラズマです。非常に高温になるとプラズマ状態となります。このあたりは話がごちゃごちゃするのでやめておきますが、

 

大切なのはプラズマという状態があるということです。

 

なぜこんなにプラズマにこだわるかというと、プラズマは非常に面白い性質を持っているためです。これはそのうち説明しますが半導体プロセスにはもはや欠かせない存在といえます。プラズマの発生原理を理解することは半導体プロセスの超基本原理を理解するようなものだと思います。

 

さて、行ったり来たりしましたが2割くらいは理解してもらえた?この放電によるプラズマの発生原理を説明しましょう。

プラズマの発生を理解するには以下の現象を理解する必要があります。すごく突っ込んで調べたい人はそれぞれ専門書があるのでこちらをを読みましょう!!

 

1.   熱電子放出→温度(0K以上)がある金属からは電子が常に放出されます。
例)熱電子放出の現象を積極的に使ったのが電子顕微鏡(SEM)などで使う電子銃です。(電位差があると電子の放出量が変化します。)

2.   電界→fig.1で説明するとA-B間には電界という場が存在しています。電界に沿って電子は移動しようとします。

3.   磁界→電界と同じように磁界があると電子はこれに影響をうけ運動方向を変えます。磁束密度と電子の進行方向の外積方向に力を受ける面白い現象が起きます。電界と磁界が直行する場合電子はサイクロイドやトロコイド運動のような動きをします。(簡単な条件では手計算可能です。)複雑な電界磁界の条件では計算は難しいですが、電子は磁束に巻きつくような動きをしますが、磁界と電界が直行するような条件の部分ではやはりサイクロイドのような動きをします。

4.   宇宙線→別に知らなくてもいいと思いますが、宇宙から飛んでくる高エネルギー粒子?や電磁波?(エネルギーが高いから粒子もいっぱい振動してると思いますが)です。

5.   原子と電離→原子は中性子、陽子、電子で構成されています。原子は高エネルギーの粒子に叩かれたりすると電子がはがされて電子と陽イオンに分離します。このことを電離と言います。

 

ここからはパワーポイントという電子式紙芝居のファイルを参考にしてください。放電がおこるまでを見れます。